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おかげさまでspamコメントが増えてきましたので、一応コメントを承認制にしました。基本的には承認します。
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2月中旬っていつまでをさすんですかね(2月20日までとして,じゃあ下旬は1週間しかないじゃんっていう)っていうか2月ももう後半ですねっていうか今年度も間もなく終了ですね。大変です。

表題の件,VLE, vowel length effect,略してVLEというのは,英語において直前に来る母音の長さで,最後の子音が有声音(gとかbとか)か無声音(kとかpとか)かがわかりますよ,という効果のことを指すようですね。で,長母音+有声音,および短母音+無声音という組み合わせの語が英語には多いようですが,これの逆パタンを作ってみて,8ヶ月児と14ヶ月児に,Headturn Preference Procedureをさせたら,14ヶ月児でのみ,短母音のペア(+無声音(match)と,+有声音(mismatch))でのみ差があって,mismatchの方をよく見たといえるような結果が出た,というのがDevelopment of perceptual sensitivity to extrinsic vowel duration in infants learning American English. Ko ES, Soderstrom M, Morgan J.という論文です。

Headturn Preference Procedureというのは,実際にはやったことないんですがどういうのかというと,部屋の中に左真ん中右とライトがあって,まず真ん中のライトが光って赤ちゃんの注意を惹き,しかるのちに右か左のどっちかのライトが光り,赤ちゃんがそっちを見ると声(単語)が聞こえます。それで,音が聞こえたあとに見ている”時間”を測定して,その時間を分析につかう,というものです。

まああと細かいところがちょっと気になるんですがそれは今後の為に取っておくとして,1歳になればそれは言葉も話しだすので,このへん既にわかっててもおかしくないですが,いわゆる6ヶ月で大体母語のカテゴライズが終わる説,において,長さのようななんていうのかなあ,とりあえず適切な言葉が浮かばないのですが微妙な違いはもしかしたら8ヶ月以降までカテゴライズされないよ,というのはちょっと面白いかもしれませんね。

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Abnormal Brain Lateralization in High-Functioning Autism: Paul R. Escalante-Mead,Nancy J. Minshew,and John A. Sweeney.pubmed linkはこちら.

自閉症群(早期の言語発達遅滞の有無に関わらず)は,IQと年齢をマッチした健常の被験者,に比べて,Edinburgh Handedness inventoryのスコアが低い.また,Edinburgh handedness inventoryの項目の17/23が一致した場合,そちらを利き手とした.このときも,自閉症群は,normal controlより右利きの割合が低かった.有意性を示すことができなかったが,早期の言語獲得障害を持つ自閉症群と,言語獲得障害を持たなかった自閉症群には違いがあるように見える(Fig.1参照).これは中間表現系ではないか?

凄い短い論文.これでAbnormal Brain Lateralizationというのは無理があるんでないかい,という気はちょっとする.

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Heaton, Hermelin, & Pring. (1999). Can children with autistic spectrum disorders perceive affect in music? An experimental investigation.Psychol Med. Nov;29(6):1405-10.の話.これも卒業研究関係で読んでいます.Heatonが中心になってやっている実験は一通り読んだかと思っていたのですが,これは見落としていたなあ,ということでここにメモを残しておきます.論文本体はpubmed linkまたは cambridge pressから.

Heatonらは,この実験の前に,自閉症の音楽刺激の知覚に関する研究をいくつかしていますが,自閉症は定型発達との差がないか,むしろ優れた音楽知覚を示すデータが得られています(この実験は,2音間の音高変化量とか,和音内の音変化の弁別とかだったと記憶しています).ただ,音楽認知は,単にtoneの弁別/知覚のみによるものではなく,音楽からもたらされる感情の理解という段階も存在します.今回の課題では西欧の音楽において,長調がpossitive connotationを,短調がnegative connotationを強く示唆する(Helmholtz, 1877; ヘルムホルツは名前くらいは聞いたことがあるけどなあ,というところ)こと,および自閉症に表情認知の障害(これはもう,山ほどありますね.といって,ちゃんと読んではいないのですが…)があることから,表情(感情の視覚的表出)認知に障害がみられる自閉症において,音楽の感情的示唆(本研究においては major = positive, minor = negative)の認知にも障害が見られるかどうかを調べる,というのがこの研究の目的です.

被験者は12人の自閉症を持つ子どもと2人のアスペルガー症候群を持つ子どもであり,年齢は7歳9ヶ月〜15歳,言語性IQが56−126(ME = 92.71),動作性IQが87−147(ME = 108)でした.統制群は,言語性IQ
でマッチした群と,動作性IQでマッチした群が設定されました.刺激は,happy, sadの顔刺激(これ,ちょっと,わかりにくくねー?),および,長調と短調の聴覚的刺激(メロディ)です.メロディの作り方は,ごく一般的な方法ですね.メロディには,長調,短調ともに伴奏あり(1度−5度−1度)と伴奏なし条件がありました.

手続きとしては,まずはじめに顔刺激をみせ,”どんな表情に見えますか”と確認をします.この段階で,自閉症群も統制群もhappy,sadの正しくラベルできているようです.その後,被験者は,これから流れる音楽が,どちらの顔に当てはまるかを,言葉か指差しで答えるよう指示されます.

結果は,両群とも正答率(正答というのは,今回の場合,majorのメロディが聞こえたときhappyを示し,minorのメロディではsadを示すということ.念のため)がチャンスレベルを越えていました(自閉症群と統制群で1名ずつ,12点を下回るものはいたが).3要因のANOVA(調(長,短)*伴奏(有,無)*群(自閉症,統制(言語),統制(動作)))(括弧が三つならんでしまった)によれば,伴奏に主効果があった(伴奏があった方が得点は上昇する)他は,交互作用も主効果もなかった,ということでした.

考察で重要そうなのは,

Frith et al. (1994) suggest, ... they might recognize the outward signs of happiness and sadness without understanding the underlying thoughts and feelings of those experiencing such emotions.
というところでしょうか.


うーん,自閉症における表情認知困難は,リアルな人の顔は複雑であり,その複雑さを"大雑把に"概念化する,という部分の障害(こないだ,ウルトラジャンプのニードレスという漫画でこんなことを言っていた;自閉症の文脈じゃないけど.)…というか,神経接続とか側抑制とか配置の異常によるんじゃないかなと思うんですよね.表情認知の勉強をちゃんとはしていないので,とんちんかんなことを言っているかもしれませんが.だから,今回のような非常にシンプルな二者択一は,表情認知の問題とはちょっとズレがある気がします.major/minor modeとpositive/negativeの関係は,うーん,まあ,たとえばテレビや映画で,こういう結びつきはあるわけで,そういうところからの学習が強く効いている気がします.生得的にmajor = positiveみたいなものがあるのかなあ,ちょっとこのへんはわかりませんね.2009年現在は,アニメとかゲームで,線画とメロディの結びつきが非常に頻繁に行われているので,より優れた成績を示す,という可能性はあるように思います.

もし,長調-楽しい,みたいな連合が既に形成されていれば,それを利用して,表情認知の手がかりとする,という支援方法が考えられるかもしれません. APT Onlineの,Katagiri. (2009).The Effect of Background Music and Song Texts on the Emotional Understanding of Children with Autism,Journal of Music Therapy,Volume 46, Issue 1 (March 2009).というのが,関連しそうなところ(BGMによって,感情のcodingとdecoding成績が上昇する?)ですが,これ北大から読めなかったので,複写依頼中です.またいずれ.

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いまさらだけど、カテゴリの整理をしたいなー。"現在読んでいる論文"カテゴリは、本来は聴覚情報処理勉強会で"現在読んでいる論文"だったんだけど、今自閉症ゼミと院ゼミの取りまとめで忙しくて開催できてないので、死にカテゴリになっています。それで、まさに"現在読んでいる論文"で、MMNにもtime processingにも該当しないものはここに集めることで、論文関係の備忘録にする、ということを考えたんですが、そーすると前の方のもちょっといじらなきゃいけないような。まあいいか。

表題の論文は、Autism and Development disorders, vol36, No.2(pp 263-270)に載った論文。若林先生とBaron-Cohen, Wheelwright,あと東条先生の仕事なんですがこうやって並べて書くと外国人の敬称をどうしたらいいのかわからない。普段呼び捨てちゃうからなあ。

それで、今までいくつか質問されて答えられなかったことの答えがあるので、ちょっとだけ紹介します。詳細は、ERIC website該当ページとかからどうぞ。

自閉症群は、57人(男性44,女性13)、年齢は平均26・9歳で、18-57のレンジ。統制群は194人の成人(男性103、女性91)で、こっちは平均年齢33.6(22-56)歳。ランダムに用紙を送って、回収率が39%。律儀に送ってくる方が自閉的なのか、届いたものを無視するのが自閉的なのか。考えるとキリがありませんがしかし重要である気もします。あと、1050人(!)の学生データも取っていて、これは20.3歳が平均(18-41、SDは1.9)。

UKのデータは、Baron-Cohenのほうに載ってるのかな?いずれ見るとして、さて、日本人における平均AQスコアは?以下、数字が平均値、()内は標準偏差。HFA/ASと診断を受けた人は、全体37.9(5.31),男性37.2(5.64),女性40.3(3.91)。(詳細を読めば書いてるかもしれないけど、女性の平均値が高いのは、"自閉症的傾向"を"女性的傾向(生物学的な、および社会的な)"がカヴァしてる可能性がありますね。だから、自閉症傾向がめっちゃ高くないと診断にはひっかからない、みたいな。一方、UKでは、35.8(6.5),35.1(6.9),38.1(4.4),respectivelyであります。統制群は、18.5(6.21),19.1(5.98),17.9(6.44)で、UKでは16.4(6.3)、17.8(6.8),15.4(5.7),学生群は20.7(6.38), 21.5(6.29), 19.9(6.38),UKでは17.6,(6.4),18.6(6.6), 16.4(6.1)となります。日本は若干AQが高い傾向がありますね。学生の平均はとりわけ。なお、学生の場合、理系はやっぱ平均が高いみたいです。

それから、cut-offと比率については、今回の調査で、自閉症と診断がついていない人の最高得点は36点(1%,男性のみ)でした。そうなんだよなー、ここなんだよなー。ちなみに、男性はAQ~13,25~が(自閉症の診断が付いていない人の)下位、上位15%であり、女性はAQ~12,24~が下位、上位15%にあたります。うーん、そうか、なるほどねえ。というとこ。他にも細かいデータは載っているので、このへんの研究をされている方は一読すべきと思います。渡辺はおせーんだよ、ということですね。すみません。

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Language impairment. Listening out for subtle deficits.
Nature. 1997 May 8;387(6629):129-30: Bishop D V.

というよりも、共通する周波数成分「が」その前の微妙な変化をマスキングする、という話だった… あ、あれー(SLIの話です)


Listening out for subtle deficits 訳一応置いておきます。()内は自分でわかんなかった単語。こんなんもわかんねーのかよ、といって笑うのが正しい使い方。Uncommon Understandingこれをそのうち読みたいところ。

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