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おかげさまでspamコメントが増えてきましたので、一応コメントを承認制にしました。基本的には承認します。

Duncan CC, Barry RJ, Connolly JF, Fischer C, Michie PT, Näätänen R, Polich J, Reinvang I, Petten CV. Event-related potentials in clinical research: Guidelines for eliciting, recording, and quantifying mismatch negativity, P300, and N400.pubmed linkたしか大「脳」洋航海記でも紹介されてたMMNの臨床応用のガイドライン論文.のMMNのところまで."optimal" paradigmが,本当にoptimalなのか,というのはちょっと疑問があったりしますが,それを突っ込むにはあまりにも知識不足なので,精進したいと思います.勉強しなきゃ.一応訳のファイルを挙げておきますが,訳が正確である保証はいっさいありません.あと,別の場所で使ったので,適当な語句解説的なものも入っていますが,それは本当に真実である保証がないのでご自身でもお調べください(それで,間違ってたらこっそり教えてくれるとうれしいです).日本語訳(PDF)

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Inouchi, M., et al., Neuromagnetic mismatch field (MMF) dependence on the auditory temporal integration window and the existence of categorical boundaries: comparison between disyllabic words and their equivalent tones. Brain Res, 2008. 1232: p.155-62.(Pubmed link)のまとめ.最初はMMFの分析方法を参考にしようと思ったんですが,ちょっと前に関心があったこととリンクしているのと短いので中身も書きます.

Introduction:パラグラフ1はMMN/Fの定義の話.ここではMMN/Fの発生はmemory-based neuronal activityによるもの,と考えているようです.パラグラフ2はdurationの増大によって生じるミスマッチ成分と減少によって生じるミスマッチ成分のどちらが大きいか,ということには議論がある(減少>増大も,減少=増大も,減少<増大も証拠がある)ことを説明したうえで,結局この変化は,カテゴリー横断時に最大になる,という仮説を提示しています(それで,この研究では,“地図”と“チーズ”という単語を刺激に採用しています).*以前,どっかでdurationの「減少」については,「変化したという事実」+「変化量の算定」が生じるため(ということは,増大の場合は,変化オンセットについては「変化したという事実」のみに関与する逸脱検出活動が生じるので),MMN amplitudeは減少>増大になる,という話を読んだ記憶があるんだよなー.これはこれでわりに納得いく話なんですが.カテゴリが関係ないときはこういう話が成立するんだろうか?

パラグラフ3は,これまでの筆者らのグループの研究で,単音節(NO→NOH)のduration増大の逸脱では,MMFを導出することに失敗し,二音節語のduration減少(CHIIZU→CHIZU) ではMMFを導出できたことを示しています.しかしながら,まだdurationの延長ではMMFが見られるかどうかがわからないので,(CHIZU→CHIIZUってことね) それを確かめ,短縮と延長がMMF成分の構成要素になるかを確かめる,ということですね.パラグラフ4は被験者情報(8人の右利きの日本人学生)とか.Methodの超短縮版みたいな.二音節語に加えて,同等のtoneの変化も聞かせているようです(パラグラフ3にも書いてるね).ここのmagnetometer systemは,”Magnes 2500 WH”というものみたいですね.これのようです.だからどーだ,ということではないんですが.

で,Resultです.肝心の(そのために読んでる)mismatch effectが得られたかどうかの検定は,被験者内で,標準波形と逸脱波形それぞれのRMS振幅を求め,刺激のタイプ(words/tones)*変化の方向(短縮/延長)*半球(LH/DH)*条件(標準/逸脱)の4要因のANOVAをした,ということのようですね.うーん.より細かい情報が4.Experimental proceduresにありまして,それによると,標準と逸脱の比較を(引き算波形じゃなくて,ということ?)することが非常に奨励されている(Jacobsen, T., Schröger, E., 2003. Measuring duration mismatch negativity. Clin. Neurophysiol. 114, 1133–1143;これは読む!)ということでconditionを加えたANOVAをしているんですね.

MMFピーク潜時は74チャンネルの200-450msのタイムウインドウの最大RMS値(総加算平均波形における)としています.これは刺激onsetからですかね?Fig.1を見る限り,純音とかとは違って,単一の成分だけが出ているようには見えないのですが,しかし,まあ逸脱の最大RMS値はたしかにMMFっぽい,ように見えます.

MMF振幅は,z-scoreで被験者間のばらつき(variability)を標準化した,ということだそうです.参考:wikipedia母集団はどうやって求めたんだろうか….それともなんか,こういう方法がメジャーなんでしょうか.これも要検討ですね.Prominent MMFの存在は,標準と逸脱が10msのタイムウインドウ(差波形のMMFピークの中心から)区間のintegrated power amplitude (ようは,≒平均値?) に有意な差があることによって同定された,とありますね.ちょっとz-scoreのくだりが良くわからないのですが,(被験者間のばらつきを標準化する)→逸脱から標準をひいて,総加算引き算波形を求める→刺激オンセット後200-450ms区間でのピークを求める→標準,逸脱波形それぞれについて,そのピーク前後10msを平均し,有意な差があればprominent MMFであるとした,ということでしょうか.(ANOVAもやっているが,標準-逸脱の差があるか,という両側の対応のあるt検定も,半球/条件毎にやっている)合ってるかな?この手続きは使えるかな…?ちょっとやってみよう.

さて,Resultに戻りますと,ようするに,単語(CHIZU→CHIIZU,またはCHIIZU→CHIZU)においては,短縮でも延長でもMMFが見られたけれども,toneにおいては,短縮のみでMMFが見られたということ,更に,振幅では短縮 > (単語)延長という結果が得られ,潜時は単語 < toneであった,というあたりがダイジェストになろうかと思います.あと信号源推定とかもしているようですが,とりあえずこれは割愛.

ディスカッションも重要なことが書いている気がするので,またそのうちこのへんの話は読むことになろうかと思います.自閉症はなぜかdurationの逸脱が苦手なようで,それはなぜか,ということはずっと疑問だったのですが,単なる変化検出+変化量の算定のみならず,カテゴリの変化というのもduration MMNにおいては(もちろん,pitch MMNにおいても,でしょうが)重要である,というのは,何かのとっかかりにならないかなと思っています.というあたりで,今日はここまで.

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MMNについてちょっと勉強する必要性を感じたので、カテゴリを追加。

とりあえず最新かつ非常にまとまった定義の紹介。
science direct:The mismatch negativity (MMN) as an NDEX of auditory memory

mismatch negativity(MMN)は、聴覚事象関連電位(ERP)の成分で、音に注意が向けられていないときでさえ、連続する音のいかなる要素の、いかなる弁別可能な変化に対しても惹起される。刺激の変化の強度(magnitude)を下げ、MMN惹起の閾値まで到達させることによって、健常者や臨床群における、どのような聴覚刺激属性についても、個人の知覚弁別の正確さの算定が可能である。これは、繰り返す、すなわち“標準(standard)”音の中枢的な音表象(central sound representation)における感覚情報のエンコードの正確さを測定する二次的な方法を提供する。刺激変化の異なったタイプのために、聴覚皮質におけるMMN発生(generation)の(解剖学的)部位(loci)が異なることから判断して、この表象は聴覚皮質の異なった要素-特定的(feature-specific)な部分に区分けされるように見える。(このことを)裏付ける結果が、MMNの磁気的な同等物、MMNmの記録から得られている。非言語的刺激において、これらの表象は右半球が優勢(preponderant)であるが、左半球は被験者の母語の音韻トレースに適合しているように思われる。

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