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Inouchi, M., et al., Neuromagnetic mismatch field (MMF) dependence on the auditory temporal integration window and the existence of categorical boundaries: comparison between disyllabic words and their equivalent tones. Brain Res, 2008. 1232: p.155-62.(Pubmed link)のまとめ.最初はMMFの分析方法を参考にしようと思ったんですが,ちょっと前に関心があったこととリンクしているのと短いので中身も書きます.

Introduction:パラグラフ1はMMN/Fの定義の話.ここではMMN/Fの発生はmemory-based neuronal activityによるもの,と考えているようです.パラグラフ2はdurationの増大によって生じるミスマッチ成分と減少によって生じるミスマッチ成分のどちらが大きいか,ということには議論がある(減少>増大も,減少=増大も,減少<増大も証拠がある)ことを説明したうえで,結局この変化は,カテゴリー横断時に最大になる,という仮説を提示しています(それで,この研究では,“地図”と“チーズ”という単語を刺激に採用しています).*以前,どっかでdurationの「減少」については,「変化したという事実」+「変化量の算定」が生じるため(ということは,増大の場合は,変化オンセットについては「変化したという事実」のみに関与する逸脱検出活動が生じるので),MMN amplitudeは減少>増大になる,という話を読んだ記憶があるんだよなー.これはこれでわりに納得いく話なんですが.カテゴリが関係ないときはこういう話が成立するんだろうか?

パラグラフ3は,これまでの筆者らのグループの研究で,単音節(NO→NOH)のduration増大の逸脱では,MMFを導出することに失敗し,二音節語のduration減少(CHIIZU→CHIZU) ではMMFを導出できたことを示しています.しかしながら,まだdurationの延長ではMMFが見られるかどうかがわからないので,(CHIZU→CHIIZUってことね) それを確かめ,短縮と延長がMMF成分の構成要素になるかを確かめる,ということですね.パラグラフ4は被験者情報(8人の右利きの日本人学生)とか.Methodの超短縮版みたいな.二音節語に加えて,同等のtoneの変化も聞かせているようです(パラグラフ3にも書いてるね).ここのmagnetometer systemは,”Magnes 2500 WH”というものみたいですね.これのようです.だからどーだ,ということではないんですが.

で,Resultです.肝心の(そのために読んでる)mismatch effectが得られたかどうかの検定は,被験者内で,標準波形と逸脱波形それぞれのRMS振幅を求め,刺激のタイプ(words/tones)*変化の方向(短縮/延長)*半球(LH/DH)*条件(標準/逸脱)の4要因のANOVAをした,ということのようですね.うーん.より細かい情報が4.Experimental proceduresにありまして,それによると,標準と逸脱の比較を(引き算波形じゃなくて,ということ?)することが非常に奨励されている(Jacobsen, T., Schröger, E., 2003. Measuring duration mismatch negativity. Clin. Neurophysiol. 114, 1133–1143;これは読む!)ということでconditionを加えたANOVAをしているんですね.

MMFピーク潜時は74チャンネルの200-450msのタイムウインドウの最大RMS値(総加算平均波形における)としています.これは刺激onsetからですかね?Fig.1を見る限り,純音とかとは違って,単一の成分だけが出ているようには見えないのですが,しかし,まあ逸脱の最大RMS値はたしかにMMFっぽい,ように見えます.

MMF振幅は,z-scoreで被験者間のばらつき(variability)を標準化した,ということだそうです.参考:wikipedia母集団はどうやって求めたんだろうか….それともなんか,こういう方法がメジャーなんでしょうか.これも要検討ですね.Prominent MMFの存在は,標準と逸脱が10msのタイムウインドウ(差波形のMMFピークの中心から)区間のintegrated power amplitude (ようは,≒平均値?) に有意な差があることによって同定された,とありますね.ちょっとz-scoreのくだりが良くわからないのですが,(被験者間のばらつきを標準化する)→逸脱から標準をひいて,総加算引き算波形を求める→刺激オンセット後200-450ms区間でのピークを求める→標準,逸脱波形それぞれについて,そのピーク前後10msを平均し,有意な差があればprominent MMFであるとした,ということでしょうか.(ANOVAもやっているが,標準-逸脱の差があるか,という両側の対応のあるt検定も,半球/条件毎にやっている)合ってるかな?この手続きは使えるかな…?ちょっとやってみよう.

さて,Resultに戻りますと,ようするに,単語(CHIZU→CHIIZU,またはCHIIZU→CHIZU)においては,短縮でも延長でもMMFが見られたけれども,toneにおいては,短縮のみでMMFが見られたということ,更に,振幅では短縮 > (単語)延長という結果が得られ,潜時は単語 < toneであった,というあたりがダイジェストになろうかと思います.あと信号源推定とかもしているようですが,とりあえずこれは割愛.

ディスカッションも重要なことが書いている気がするので,またそのうちこのへんの話は読むことになろうかと思います.自閉症はなぜかdurationの逸脱が苦手なようで,それはなぜか,ということはずっと疑問だったのですが,単なる変化検出+変化量の算定のみならず,カテゴリの変化というのもduration MMNにおいては(もちろん,pitch MMNにおいても,でしょうが)重要である,というのは,何かのとっかかりにならないかなと思っています.というあたりで,今日はここまで.

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