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ぽちの助の隠棲閑話で絶賛されていたので、とりあえずデビュー作、と思って「空を見上げる古い歌を口ずさむ」を読んでみました。

以下ネタバレにつき、読む気がある人は読まないように、「つづきはこちら」で。

*別に紹介じゃないので、「書籍紹介」にはいれませんでした。

あらすじに興味があれば、公式サイトあたりでどうぞ。

いやー びっくりした。というのが感想で、これをぽちの助の隠棲閑話のほうに書き込みたかったのですが、
さすがにネタバレだし、長くなるし、未読かもしれないし、ということで、
しかし黙っているのもアレなので、ここに書くことにしました。
読んでしまうと、「驚き」が3割くらい減るかもしれません。

この本最大のミスディレクションは、オビにあります。
というのはですね、オビに「メフィスト賞受賞」って書いてるんですよ。

メフィスト賞の詳細は、wikiとか見ていただければ分かると思うんですが、まあクセのある作品(清涼院流水大先生の作品を「クセのある」と表現していいかどうかは議論のあるところだと思いますが)が受賞している賞でありますが、基本的には、ミステリ的文脈に収まる(清涼院流水大先生の作品を「ミステリ的文脈に収まる」と表現していいかどうかは議論のあるところだと思いますが)、あるいは一応収めようという努力が見出される、少なくとも、「こういう方向でいけば読者はびっくりするだろう」という方向の作品が多いと思うんですが、
翻ってこの「空を見上げる古い歌を口ずさむ」を読むとですね、
まあ「謎」はあって、確かにその「謎」は解決します。するんですが、「びっくり」はしないんですね。で、しかし、その「びっくりしない」解決に対して「びっくり」するというか。

物語には「伏線」というものがあって、ただの情景描写かなあ、でもなんか意味ありげな描写だなあ、思っていたら、実はそれが物語の根幹に対して重大な意味を持っていた、みたいな物語の要素を「伏線」と呼ぶんですが、あとで「ああ、あれは伏線だったのか」と気づく状態にお話を持っていくことを、「伏線を回収する」というんですね。

で、渡辺の知っている限りなので、かなり偏って人選ではありますが、これは伏線だろうけど、こんなの後で回収できるのかよ、と思わせといて、力技で回収するのが島田荘司(一派)で、どうみても回収していないのに「回収した!」と力強く断言するのが清涼院流水大先生(マンガだと、荒木飛呂彦は基本的に前者だけど、時々この手を使う(のを、好意的に評価される稀有な人だと思う)) 、伏線っぽいし、回収も綺麗にできそうだな、と期待させておいて完全に回収するのが伊坂幸太郎、マンガで言うと尾田栄一郎、情景描写ですよ!というのを過剰にアピールして、実はあとで伏線だということに気づかせて驚かせるのが西尾維新だと思いますが、
小路幸也は伏線(らしきもの)をひたすら張って、「それはただの情景描写ですよ」と言うわけですね。これは、凄い。

いや、まあ、きちんと読み返せばちゃんと伏線になっているかもしれないし、もし本の正しい読み方というものがあるとした場合、今回の渡辺の読み方は明らかに正しくないのです。
「物語」として読めば、きっと、なんだろうな、ほのぼのしたサスペンスというか(なんだそれ)、そういう風に読めると思うし、まあ面白い話だと思うのですが、
「メフィスト賞受賞」と書いてある時点でそうは読めない。「ミステリ的文脈を持つ物語」として読むわけで、そこで、「それは伏線じゃないですよ返し」は、物凄い破壊力を持つわけですよ。これ、狙ってやってるんだとしたら、凄いな。

だからやはりオビが最大のミスディレクションなんですよね。
うーん、やられた。やられました。

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