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この記事を書いたあと、特殊教育学会のページを見たら、正会員における学生の会費変更についてという記事が載ってたので、こちらでもお知らせします。なんと半額(5,000円)!まあ、もう入会している人は通知が届くみたいですので、わざわざ渡辺が知らせることじゃないんですが、なんとなくうれしかったので。以下本題。

カテゴリが書籍紹介でいいのか、と一抹の不安を抱きつつ。

特殊教育学会の会員なので、いつも論文誌が届くわけですが、微妙に分野が違うので毎回本段の飾りになっていて、それは高い(というほどでもないけど)会費を払っているのに勿体ないな、ということで、一読してメモを残しておくことにしました。何かの役に立つかもしれない。

聴覚障害児童・生徒の書く文の発達的変化―文構造と容認性の観点から―
著者:大森 梨早子、澤 隆史

聾学校に在籍する児童・生徒の文の発達的変化について。うちの研究グループでも、聴覚障害を持つ方の作文を調査している方がいまして、基本的に日本手話と日本語は別の言語なので(日本語対応手話、というものはあるようですが)、特に日本語における助詞がないので、この理解が大変なんじゃなかろうか、という話を聞いたことがあります。この論文は、おそらくこのあたりの流れから、正確に書けるか、ということ、それから、複雑な文も書けるか、ということを対象にした調査で、正確さはわりと調べられているけど、複雑さを調べているものが少ない、というのがウリのようです。

聾学校に在籍する小学~高校生の、授業で書かれた作文を収集、分析しています。ところで、平均文数が、小学部:19.2文、中学部:38.5文、高等部:17.8文で、中学部が妙に多いんですが、これは何か原因があるんでしょうか。カリキュラム上、長い文が求められるとか?

さておき、文法も意味もわからない文、というのはどの段階でもほとんどなく(まあ、授業でやってるものだから当たり前といえば当たり前で(教師の修正が入るから)、あまり考えずに書いた文、というのがどうなるのかはまた別の話でしょう:先行研究では、提示した絵を記述させていて、その場合もっと誤りのある文が多いことが示されているようです。この学校が国語に力を入れていることと、自由記述と比べて書くべき内容の制約が作文は少ないことが原因として考えられる、と考察されています。添削の問題があるんじゃないかなあ、という気はやはりちょっとする)、文法が誤っている文の比率は、小-中学部では20%程度なのが、高等部で14%程度まで下がること、高等部は単文の比率が減り、複文の比率が増えることが示されています。誤りの傾向については、助詞に関する誤りが圧倒的に多く、次に語形成(語順、活用、複合語の結合、単語内の文字の置き換え、付加、脱落、送り仮名の誤り、と定義されていました)の誤りが多い結果になりました。助詞の問題は顕著な感じがします。

ただ、他の誤りが、むしろ学年が上になるほど増加しているのに比べ、助詞の誤りについてのみ、学年が上になるほど減少しています。学年段階における指導方針の影響が出そうな気がしますね。作文に対する添削状況がちょっと気になるというか、仮に添削してなくても、「授業で作文を書く」という状況でちょっと文法に対する意識が違うとかね。この点においては作文(だけ)を分析対象にしていることがちょっとだけひっかかりますね。自由産出のほうと比較すると、それはそれで面白そう。

あとは、小学部・中学部では単純な構造の文で文法的誤りが多いが、高等部は複雑な文において文法的誤りが多い、つまり、書きたい内容に対して文法力がおっつかない、ということが言えそう、というあたりが主張になるでしょうか。そうなると、この文法力を形成させるにはどういうカリキュラム(学習法)が必要か?とか、そのあたりが今後の課題になるでしょうか。しかし、音韻の助けがない、というのは当然書字においては影響が大きいわけで、うーん、これは難しい問題。

ちょっと疲れたので、続きはまたいずれ。

とりあえず目次だけ

Child Behavior Checklist-Youth Self Reportによる、少年院在院者の行動と情緒の問題の検討―一般高校生との比較を通して―

小学校通常学級在籍児童の視写書字速度

歩行が安定しない重度知的障害児の日常性格における身体の操作性の変容―発達支援における動作法の活用―

自閉症児童を対象とした金銭支払いスキル形成のための指導プログラムの開発

自閉性障害児の余暇活動における活動スケジュール利用の効果に関する事例的検討

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