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トーケル・クリングバーグ博士(Dr.Torkel Klingberg)の講演を聴いてきました。

Cogmed-Japanのページを見ていただければわかるかと思いますが、この方は大学発ベンチャを立ち上げて、ワーキングメモリトレーニングプログラムを作成した方です。

日本心理学会でも、明日シンポジウムが企画されているようですが、
一足先に講演を今日北大で講演を行っていただきました。宣伝不足からか、お客さんはわりと少なかったです。

話の概要としては、
・視空間ワーキングメモリ機能が、AD/HDでは定型発達に比べ、1SD近く落ちている(言語ワーキングメモリでは、0.5SDくらい)
・AD/HDはおそらく、prefrontal-parietalのネットワークがうまく情報伝達ができていないだろう
・ドパミン系(報酬系)の受容体もうまく働いていない証拠がたくさんある

そこで、
・視空間ワーキングメモリに関連する認知的機能をトレーニングする
・さらに、報酬系をきちんと活動させるため、いつも「うまくいっている」と感じられるようなプログラムを設定する
(これが、ワーキングメモリトレーニング)

そうすると、
・視空間ワーキングメモリ以外の機能に対しても汎化が見られた
 ・たとえば、レイブン色彩マトリックステスト、聴覚CPTなど
 ・両親の子どもに対する評価も上がった
・この改善は、80%以上の家庭で1年以上続くか、より改善が見られた
 (およそ20%の家庭では、減少が見られた)
 ・改善の度合い(エフェクトサイズ)は0.7で、メチルフェニデートによる効果値とほぼ同等であった
ようです。
(ただし、日本版のコグメド社によるトレーニングでは、若干結果が変わったようなことを前耳にした気がします。ただ、このへんはまだぜんぜんオフィシャルデータはあがってない(はず)ので、もしわかったら書きます)

さらに、
・反応抑制のトレーニング
・言語ワーキングメモリのトレーニング
では、同様の汎化は見られず、視空間ワーキングメモリのトレーニングが有意に認知機能の増強に役立つことが示されているようです。

なんで?というあたりは当然気になりますが、そのあたりはまだこれから…なんですかね(今日の話ではよくそのへんはわからなかった)。

質疑応答では、
・モチベーションは必要だが、ただゲームをやってれば機能が増強するわけではない
・トップダウンの注意機能と、ワーキングメモリは強い関係があるだろう
というあたりの議論が印象に残っています。

個人的には、これ、スーパーバイズがひとつの売り(インターネットでトレーニング状況をモニタして、週1ぐらいで打ち合わせ的なことをしてくれる)なんですが、
そこを省いて、ニンテンドーDSにファームを移したらどうかなとか思いました。
タッチペンとか、課題の雰囲気的にはすごくあいますし、時計機能とか(動物の森、やったことないんですが、あれをみると相当このへんは協力だと思うので)を使ってわりとオートなスーパーバイズとかもできる気がします。
DSだと子どものやる気も出る気がします。

特にスーパーバイズが必要な場合は、Wi-Fiを使ってデータ送信、とかもまあ可能は可能だし、DSだとやる場所を選ばないというのがいいところなんじゃないかなーとも思います。

今日本でこのプログラムをやるには、5週間で79800円かかるらしいです。
「ワーキングメモリトレーニングDS」、本体価格5040円くらいで、どうですかね。ダメですかね。

なお、関連論文は、www.klingberglab.seで閲覧できるようです。

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