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29日に学会が終わり、30日はごぶサタ(ボランティア)。31日に、久しぶりに滞っていた家事と買い物をこなし、ようやく今日がオフといったところです。
まあしかし、修士論文のための実験もしなきゃいけないので(今日も4時から)、完全なオフではないんですが、自分のためだけに時間を使えるのはよいところ。

さて、今日は再来週に近づいてきた教育学院の院試に向けて、ちょっと覚えていることを書こうと思います。

渡辺が受けたのは後期試験なので、前期とはまた趣が違うかもしれませんが、参考程度に。

○筆記試験
 ・英語
 なんと、教育学院/部の入試のページには、英語の過去問が載ってないんですね。これはちょっとびびるかもしれない。

 記憶によれば、超難しい文法とか、イディオムとかは出てこない。はず。せいぜい、it to構文とか、そんなもん。so that とか、so ~ thatとか、so asとか、そのへんで躓かなければOKだと思います(渡辺は、躓きかけてあせった記憶がある)。
 素直な文法(多分、中学校程度の文法がしっかりしてれば大丈夫なんじゃないかな)で、論文っぽいやや科学的な話が出てくるので、それ関係の言葉を抑えておくときっと楽になると思う。
 たとえば、cohort(コホート/共通の因子を持つと考えられる集団)とか、cross-sectional(横断的)とか、そのあたり。

 ただ、辞書の持ち込みが可能なので、ま、単語がわからなくて困ることはないでしょう。
 確か、渡辺が受けた年(ええと、平成18年度かな)は、大問の3つ目に清涼飲料水の摂取量と非行の関係に関するコホート研究のことが書いてあったように思います。素直に訳を書くとか、文意にあった選択肢を選ぶとか、その程度だった気がします。
 たとえば清涼飲料水の摂取量がほかの変数と関係する可能性(清涼飲料水に含まれる砂糖のことを懸念するような家庭はしつけもしっかりしているかもしれないから、もともと母集団が異なる可能性もあるよね)を指摘せよ、とかそういう面倒なことは聞かれなかった気がします。
 
 ・専門
 「特殊教育・臨床心理学」しか知らないので、それだけ書きますが、去年の過去問(pdf)を見ると、うーん、これは外部の人とか社会人には厳しいよなあ、という印象がありますね。
 一問目で、いきなり
「身体性」はどのように位置づけられ、大学において教授されているか
 とくるのです。「大学において」はさあ。必要なんですかね。
 内部進学だって、これに関連する講義受けてないとわかんないよね。

 まあしかし、とりあえずは「特殊教育」ですので、
 自閉症(PDD)、AD/HD、LD、ダウン症候群、精神遅滞、ウィリアムズ症候群…あたりの諸障害(特に、発達障害)に関して抑えておけば、まあこのあたりは一通り書けるでしょう。
 ただ、抑えるのは、ハウツー(どうしたらいいのか)本ではなくて、「なぜ」こうなるのか、というあたりに目を向けた本がよいでしょうね。
 できれば、最近の論文(レビュー論文がお勧め)を抑えておくと、なお良いかなと思います。

 二問目(心理現象を測定する際の個人差の問題)、四問目(発達障害の研究において、脳機能を計測する際の留意点)はとりわけ実験実習とか受けてないと厳しいような気がしますね。つまり、外部進学者にはやや厳しい気がします。
 逆に言うと、この辺は一回やったことがあれば、サービス問題になるんでしょうか。

 三問目、経験と学習が感覚・知覚に及ぼす影響(および、情動のかかわり)については、「行動学入門」(ヘッブ)を読めということでしょうね。
 
とここまで書いたのが、昨日のお昼。夜に思い出したので、修正してアップすることにしました。

 渡辺なりの回答を「つづきはこちら」に書いてみるので、参考にしてください。ただ、参考にして落ちたらほんとごめんね。


平成20年度 北海道大学 教育学院 1次試験 解答(例)

問題4

 現在、脳機能を計測する主要な方法としては、EEG、MEG、(f)MRI、PET、NIRSなどが挙げられる。このうち、NIRSや、EEGについては、方法によっては比較的簡易に測定が可能であり、実験参加者もある程度課題遂行中に頭部を動かすことが可能であるが、MEGや(f)MRI,PETを用いた測定では、実験参加者はほとんど身体を動かすことができない。これは、健常の実験参加者にとっても困難なことであるが、とくにAD/HDを持つ人や、自閉症を持つ人にとっては、課題遂行を不可能にする要因にすらなりうる。
 たとえば、AD/HDを持つ人は、そもそも「じっとしていることが苦手」という症状を持つため、仮に体を動かすことを抑制できたとしても、そのこと自体が測定したい脳機能とは別の脳活動を誘発することになりうる。また、自閉症を持つ人は、感覚過敏を持つことが多く、頭部に電極やヘッドコイルを接着しなくてはいけない場合、強い拒否感や不安感を持つこともあるだろう。
 さらに、脳活動を測定するためには、一般に、多くの加算回数が必要とされる。同じ課題を数百回繰り返すことも稀ではないため、集中力が続きにくいとか、見通しがたちにくいというような発達障害を持つ人にとっては、この課題を続けることが健常の人よりも負荷が高くなりがちであり、このこともまた、測定したい脳機能とは別の脳活動を誘発するかもしれない。
 したがって、発達障害を持つ人の脳機能を測定するにあたっては、単に測定したい脳機能にあわせるだけでなく、事前にしっかりと実験参加者のアセスメントや事前検討を行い、どのような方法を用いるかを充分に検討しなくてはならない。
 実験参加者の状態によって、比較的負担の大きい方法(PETなど)も用いられるのか、それとも負担が少ない方法(NIRSなど)を用いるべきなのかを検討したり、課題の試行回数や、実験条件も、実験参加者に可能な範囲で調整できるよう心がけることが望ましい。
 もっとも、上記の内容は健常者に対しても行うべきことであるが、発達障害を持つ人は、実験担当者が想像するよりも課題の遂行に対して困難を感じる可能性があるため、より配慮が必要だと考えられる。

(これが一番解きやすかった。ので最初に。
 「脳機能の計測方法」については、聞かれる可能性はあるので、上の文章の最初であげた機能方法については、概要だけでいいので把握しておくこと(SQUIDとは何か(イカじゃないよ)、とかは絶対聞かれないから大丈夫だけど、たとえば、二つの脳機能計測方法を比較せよ、みたいな話のときに、EEGは多少頭部を動かせるけど、空間分解能が低い(戻りの電流を見るときに、脳組織によって電流が乱されるため)⇔MEGは実験中は身動きできないし、場所もかなり限られるし、ヘリウムは高いけど、空間分解脳が高い(磁場は脳組織にほとんど影響を受けないため)とか言えるくらいには、わかっていると良いでしょう。
 各計測方法の、一押しポイント および欠点
 (できれば)実際に自分で測定されたときの感想
 がわかると良いかな。多分)

問題2
 二つの課題(課題Aと課題Bとする)を12名の実験参加者に対して行った結果、多くの参加者が、課題Aのほうが正答率が高かったとする。このとき、少数の参加者において、課題AとBの正答率が同程度、あるいはBのほうが正答率が高いという逆転現象が起こった場合、どのような原因が考えられるだろうか。
 1つ目の原因として、それらの参加者は、ほかの参加者とは異なり、過去に課題Bに類することをすでに経験していた可能性が挙げられる。この場合は、本来どのような参加者群を想定していたかによるが(たとえば、課題Aはありふれたことなのでよく経験しているはずだが、Bは経験したことがない群を想定していたのか、両方とも経験したことがないはずだと考えていたのか、など)事前に参加者の課題の経験状況を調査する必要があったと考えられる。しかしもし、このような手順を踏んでいなければ、改めて参加者に確認する必要がある。この際、少数派のみならず、多数派のほうに、課題Aに類することを事前に経験していた可能性がないかを調査することが望ましい。
 言い換えれば、同一の母集団から抽出したと思われる参加者群が、別の集団から抽出されていないかどうかを検討する必要がある、ということだ。
 単に経験の有無だけでなく、認知傾向の違いによっても「別の集団」になりうる。たとえば、卒業研究では、健常者においても、自閉症傾向の強さによって、聴覚情報処理システムに違いが生じることが示唆された(というのは、前期には書けなかったことだけど、せっかくなので書いてみます。笑)。
 2つ目の原因としては、特に試行回数が少ないような場合、偶然(あるいは、参加者自身のモチベーションによって)成績が逆転することがある。ひとつの解決策としては、試行回数を充分に増やすことであるが、その場合は練習効果が生じる可能性もある。
 本当に偶然であれば、同一の参加者に同一の課題(あるいは、パラダイムを同一にし、細部を変更した課題)を実施すれば、多くの参加者と同じ傾向を示すと考えられる。もし同一の課題を実施しても、多くの参加者とは異なる結果を依然として示した場合は、別の要因を考えるべきだと思われる。
 したがって、全体の平均得点(上記の話は、反応時間でも同様である)や、統計処理を行ったデータも重要であるが、そのデータと同じくらい、個人データも慎重に検討する必要がある。もし全体の傾向とは異なる個人データが存在した場合、課題全体に、なんらかの交絡要因が存在した可能性があるからである。

(ちょっと自信なし。もしかしたら、統計的処理について具体的に書け、という意味なのかも。
「具体性」については怪しい部分があったけど、自分の課題とか、ネイヴォン課題とかを具体的に書き出すとちょっと時間が足りなくなると思ったので、課題そのものは抽象的にし、起こる問題とその原因、解決策を具体的に書いてみた
統計処理は、少なくとも、t検定、F検定、ANOVAについては、(計算はできないまでも)理屈は説明できたほうが良いのだろうと思います。じゃー渡辺はできてんの?と言われると、何も見ないで言えといわれると大変困る部分ではありますが…)

問題3
 ヒトの発達のもっとも初期、つまり胎児期や乳児期において、経験や学習は感覚・知覚に如実に影響を及ぼす。乳児は、生後6ヶ月程度まで、あらゆる種類の音素を認識できるとされるが、この時期を過ぎると、母語に含まれる音素以外の弁別ができなくなる。このことは、母語に暴露されるという経験により、知覚システム(すなわち、脳神経)が変性し、影響を受けたということを指し示している。
 成人においても、たとえば、一般に「舌が肥える」という表現があるように、ある種の味付けになれた場合、別の味つけを受け入れられなくなることがある。現在の梅干や鮭は薄味になったといわれるが、これは健康のための減塩をするという意識が高まるにつれ、実際に塩の使用量が少ない食事を継続的に食べるという経験により、昔の梅干や鮭は塩辛すぎるというように知覚が変化することを指し示している。
 したがって、知覚・感覚とは必ずしも不変のものではなく、その人が置かれた環境や、経験、学習によって変化しうるものである。
 また、快の情動は、学習の成立において重要な役割を持っている。納豆のにおいが苦手である人が、納豆を食べてみたところ、おいしいと感じた場合、おそらく快の情動が発生するだろう。その場合、次からは納豆のにおいをかいだときに、「おいしそう(いいにおい)」と感じるかもしれない。快の情動が起こったことで、納豆の味を報酬として学習し、その際の快情動とにおいが連合することによって、このようなことが起こるとも考えられる。
 したがって、快・不快といった基本的な情動は、学習の成立に影響を及ぼし、その結果、知覚・感覚にも変化を起こしうるといえるだろう。

(あえてヘッブから離れると、こんな感じでしょうか。行動学入門をきちんと読めば、
・感覚遮断実験を行った際、動物は(および人は)どのような反応を示したか
・快/不快のような情動が、知覚にどのような影響を及ぼしうるか
というあたり、ちゃんと書いてると思いますが、
まあ、もう少し一般論にするとどうなるか、という感じですね。
味にこだわると、やや論理が苦しくなりますが、うーん…どうでしょうね。
半分くらい点もらえないでしょうか)

問題1
 AD/HDを持つ子どもは、自己の身体感覚や身体像をきちんと身につけていない場合があるとされる。たとえば、AD/HDを持つ子供は、目をつぶって指先に触れられたあとで、どこに触れられたかを問われて、腕を指すといった場合がある。
 通常発達においても、絵画の発達から、どのように身体感覚や身体像が形成されていくかを推測することができるとされている。多くの子どもは、発達初期には棒人間を描くが、だんだんと指先が分かれ、体の各構造がきちんと描かれるようになる。
 このように、身体感覚や身体像の発達について、知られていることはいくつかある。したがって、現在の心理学研究や教育においては、身体性は知るべき知識のひとつとして位置づけられているように思われる。
 しかし、身体性について知っていても、それがどのように形成されるのかを実感することは少ないように思う。
 大学の講義等においては、自己の身体感覚や身体像について見直す機会は少なく、その多くは言語や視覚刺激を通した知識の教授である。しかし、「教育」について学ぶとき、触れ合うということは重要である。子どもと「触れ合う」というように、身体接触は対人関係形成の重要な方法のひとつである。身体接触を適切に行うためには、自分の体をどのように動かせば、どのくらいの力が発揮され、どのくらいの力であれば、相手を傷つけずに済むのか、ということを知らなくてはならない。そして、このことは単に教授されても理解は難しい。実際に「触れ合う」という経験を行うなかで、理解していく必要があることだ。
 教育を学ぶ上で、このような身体性について重要性を認識し、実際に経験を重ねることの重要性を、人間発達などの心理学の研究・教育において説くことが必要とされているだろう。

(これが案外一番難しかった…
 ただ、「意見を述べなさい」なので、明白な不正解というのは、「~について」の部分が間違っている(たとえば、いきなりカレーの話をしだす)場合を除いてないはずです。
意見とは、自分の考えなので、「それは間違った意見だ」というのは、「それはオマエの考えじゃない」というのと同義になるはずです。そんなのオマエにわかるわけねーよ とこっちは言いたくなりますよね。
 という言い訳というか、言いがかりはともかくとして、一応、
 最初の2パラグラフで、「ちゃんとそれなりに知識はありますよアピール」をし、
 まずそれについての「意見」を述べる
 (あとは文字数の余裕とかをみつつ)
 やや批判的に(あるいは、改善案として?)意見を述べる
 という構成で書いてみました。「身体性」に一家言ある人なら、もうちょいまともになると思いますが…)

ということで、大体PC使って1時間程度の解答時間でした。
実際は、漢字を思い出す(笑)とか、書きかけたのを消して書き直すとか、そういう手間を含めるともうちょいかかりますね。試験時間何分でしたっけ?
問題数多いなー という気がしないでもない。

先に、構成を考えておいたほうがいいと思います。行き当たってばったりだと、多分腱鞘炎とかになります。

(構成の例…(書きやすかった)問題4の場合
脳機能の計測、だから、とりあえず知ってる脳機能計測システムを並べよう
それぞれのメリットは?
発達障害だから、動くことが難しいか、そうでないかで対比させようか
ただ、これだけだと弱いので、+α
そもそも脳機能を計測する際の問題点をなんか挙げよう
→加算回数の多さと集中力の問題、かな
あとは、カウンタープランを挙げておこう

というくらい考えて(メモして)おいて、肉付けをしていく、という感じが良いかと思います。
起承転結とかはいらないけど、結構長く書いていると、論理がつながらなくなることが多々あるので、
最初に最後までストーリーを完成させてから、文章書き出すのが良いのでは、と思います。

あー疲れた。。 寝ます。

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